【2026年版】タイ確定申告(PND91)完全ガイド|申告期限・控除一覧・e-Filing手順
- タイ個人所得税の確定申告(PND91)の申告期限と申告方法
- 累進課税8段階の最新税率と給与所得控除の仕組み
- 2026年度版・主要控除一覧(本人・配偶者・親・保険・iDeCo等)
- e-Filingでの電子申告手順(タイ語のみだが日本人でも可能)
タイ確定申告(PND91)とは|駐在員が知るべき基本
タイでは、タイ国内で1暦年に180日以上滞在する者(タイ居住者)は、原則として個人所得税の申告義務があります。給与所得者の確定申告書を「PND91(ภ.ง.ด.91)」と呼び、給与以外の所得(事業・投資・賃料等)がある場合は「PND90」を使います。
多くの日本人駐在員は毎月の給与から源泉徴収されていますが、これは仮払いに過ぎず、年に1回確定申告で精算することが法律で義務付けられています。控除を活用しないと払い過ぎになるため、自分の控除条件を把握することが重要です。
居住者(Resident): 1暦年(1/1〜12/31)中にタイに180日以上滞在 → 全世界所得が課税対象(2024年以降の海外所得送金分含む)
非居住者(Non-Resident): 180日未満 → タイ国内源泉所得のみが課税対象
独身者の場合、年間課税所得が12万バーツ超(月収約1万バーツ超)で申告義務発生。
2026年の申告期限|3月31日 / e-Filing なら4月8日
| 項目 | 日付 | 備考 |
|---|---|---|
| 対象期間 | 2025年1月1日〜2025年12月31日 | 暦年ベース |
| 申告期限(紙) | 2026年3月31日(火) | 歳入局窓口・郵送 |
| 申告期限(e-Filing) | 2026年4月8日(水) | 歳入局Webシステム経由・7日延長 |
| 納税期限 | 申告と同時 | 分割払い対応あり(3ヶ月3回) |
| 還付処理 | 申告から30〜90日 | 銀行振込 or PromptPay |
歳入局公式サイト(rd.go.th)から電子申告すると、申告期限が7日延長されるだけでなく、計算ミス自動チェック・控除入力ガイド付き・還付処理が早いの3大メリットがあります。タイ語のみのインターフェースですが、Google翻訳で十分対応可能。
タイ個人所得税の累進税率|8段階(2026年)
タイの個人所得税は8段階の累進課税です。2024年・2025年に税率改正はなく、2026年も以下の税率が継続適用されます。
| 課税所得(バーツ) | 税率 | 段階別税額(最大) |
|---|---|---|
| 0 〜 150,000 | 0%(免税) | 0B |
| 150,001 〜 300,000 | 5% | 7,500B |
| 300,001 〜 500,000 | 10% | 20,000B |
| 500,001 〜 750,000 | 15% | 37,500B |
| 750,001 〜 1,000,000 | 20% | 50,000B |
| 1,000,001 〜 2,000,000 | 25% | 250,000B |
| 2,000,001 〜 5,000,000 | 30% | 900,000B |
| 5,000,001 〜 | 35% | − |
例: 年間課税所得80万バーツの場合、税額は0+7,500+20,000+37,500+10,000=75,000バーツ(各段階の段階別税額を合算)。日本の累進と同じ構造で、超過分のみ高い税率が適用されます。
控除の3層構造|給与所得控除+人的控除+その他控除
第1層: 給与所得控除(自動)
給与所得の50%、上限10万バーツが自動的に経費として控除されます。これは選択不要・確定申告書に記入するだけで適用されます。
第2層: 人的控除(家族構成)
| 控除項目 | 金額 | 条件 |
|---|---|---|
| 本人控除 | 60,000B | 無条件・全員適用 |
| 配偶者控除 | 60,000B | 配偶者に所得がない場合のみ |
| 子供控除(1人目) | 30,000B | 20歳未満 or 25歳未満の就学中 |
| 子供控除(2人目以降・2018年以降出生) | 60,000B | 上記+1人につき30,000B追加 |
| 親控除(配偶者の親含む) | 30,000B/人 | 60歳以上・年収3万B以下・最大4名 |
| 障害者扶養控除 | 60,000B/人 | 本人または扶養家族が障害者 |
| 出産控除 | 最大60,000B | 妊婦健診・出産費用の実費 |
第3層: その他控除(任意で活用)
| 控除項目 | 上限 | 条件 |
|---|---|---|
| 社会保険料(Social Security) | 9,000B/年 | 給与から自動天引き分 |
| 退職基金(Provident Fund) | 給与15%・上限50万B | 会社の制度に加入時 |
| RMF(老後資金投信) | 所得30%・上限50万B | 5年以上保有・55歳以降取崩 |
| SSF(積立投信) | 所得30%・上限20万B | 10年以上保有 |
| 生命保険料控除 | 10万B(医療含む) | タイの保険会社の契約 |
| 医療保険料控除 | 2.5万B(生命と合算10万B) | 本人分 |
| 親の医療保険料控除 | 15,000B/年 | 親が60歳以上・年収3万B以下 |
| 住宅ローン利息控除 | 10万B/年 | タイ国内不動産 |
| 寄付金控除 | 所得10%まで | 認定団体への寄付 |
Provident Fund・RMF・SSF・pension life insuranceの合計上限は50万バーツ/年。これを超えても各上限は使えますが、超過分は控除対象外となります。
申告書(PND91)の主な記入項目
PND91は4ページ構成で、以下の順に記入します。
Page 1: 本人情報
- 名前・タイ語表記(パスポート記載どおり)
- 納税者番号(13桁・Tax ID)
- パスポート番号
- 住所(タイ国内・TM30 と一致させる)
- 配偶者情報(該当者のみ)
Page 2: 所得明細
- 給与所得(Section 40(1))
- 源泉徴収済額(50 Tawi 2に記載されている金額)
- 給与以外の所得がある場合はPND90に切替必要
Page 3: 控除明細
- 人的控除(本人・配偶者・子・親)
- 各種保険料・投信・住宅ローン利息
- 寄付金
Page 4: 計算欄
- 課税所得算出
- 段階別税額計算
- 還付額 or 追納額
- 銀行口座情報(還付時)
タイ語の正式名称「หนังสือรับรองการหักภาษี ณ ที่จ่าย」、書式番号「50 ทวิ(50 Tawi)」と呼ばれる雇用主発行の源泉徴収票。会社が年度終了後に発行(目安1月末〜2月)。これがないと申告できないため、必ず受け取り、内容を確認しましょう。
e-Filing申告手順|歳入局Webシステム
準備物
- 13桁のタイ納税者番号(Tax ID)
- パスワード(初回登録時に設定)
- 50 Tawi 2(源泉徴収票)の数値
- 控除証明書(保険・投信・寄付など)の数値
- 還付先のタイ銀行口座番号
申告ステップ
- 歳入局公式サイトにアクセス:
https://www.rd.go.th/→ 「ยื่นแบบทางอินเทอร์เน็ต(オンライン申告)」 - 初回登録: 納税者番号・パスポート番号・電話番号で登録(初年度のみ)
- ログイン後、PND91 を選択
- 本人情報・所得・控除を入力(Google翻訳併用が現実的)
- 自動計算結果を確認(段階別税額計算が自動表示される)
- 還付 or 追納の選択: 還付時は銀行口座入力
- 送信 → 確認メールを受信
- 追納がある場合は決済: クレジットカード/QRコード/銀行振込
還付までの日数
e-Filing後、30〜90日で還付金が銀行口座に振り込まれるのが一般的です。控除証明書のオリジナル提出を求められた場合は、追加郵送が必要(処理期間がさらに延長)。
歳入局の主要窓口|タイ国内
1. バンコク歳入局本部
住所: 90 Soi Phaholyothin 7, Phaholyothin Rd, Phayathai, Bangkok 10400
最寄駅: BTSアーリー駅(Ari) 1番出口から徒歩10分
営業時間: 月〜金 8:30〜16:30(昼休み12:00〜13:00)
備考: 全国の歳入局を統括する本部。窓口対応・英語対応スタッフあり。
2. バンコク歳入局 区役所窓口
住所: 各区役所内に窓口あり
例: Wattana・Klong Toey・Sukhumvit エリア駐在員はワッタナ区(Watthana)歳入局を利用
営業時間: 月〜金 8:30〜16:30
備考: 紙申告・控除証明書原本提出時に利用。混雑度は本部より少なめ。
FAQ|よくある質問
Q1. 日本での税金とタイでの税金は二重課税にならない?
日本とタイは「日タイ租税条約」を締結しており、二重課税は原則回避されます。タイで支払った税金は、日本の確定申告で「外国税額控除」として申告すれば、日本の所得税から差し引けます(日本に居住する場合)。詳細は日本の税理士に相談を推奨。
Q2. タイ語が分からないけど自分で申告できる?
はい、可能です。e-Filing は Google翻訳のリアルタイム翻訳機能で十分対応できます。ただし、控除項目の入力ミスは追納リスクに直結するため、初年度は会計事務所代行(費用2,000〜5,000B)を使うのも合理的。2年目以降は自力でできるようになる方が多いです。
Q3. 還付があるか追納があるか先に分かる?
はい、e-Filing なら入力途中で自動計算が表示されます。一般的な駐在員(年収100〜200万B・配偶者控除あり)は還付になるケースが多いです。源泉徴収は控除を考慮せず最大税率で計算されているため、控除を申告すると差額分が還付されます。
Q4. 申告し忘れた場合のペナルティは?
申告期限を過ぎると追徴税1.5%/月(年率18%)+罰金最大2,000バーツ。さらに延滞期間が長いと、調査対象になり過去5年分まで遡及調査される可能性も。気づいたら速やかに任意申告するのが安全です。
Q5. タイで給与所得以外の収入(株式投資など)がある場合は?
給与以外の所得がある場合はPND91ではなくPND90を使います。株式譲渡益は原則非課税(タイ証券取引所上場銘柄)、配当金は10%源泉分離課税が原則。海外の株式取引や暗号資産取引は2024年以降「タイへの送金時に課税」対象になっているため、専門家相談を推奨。
Q6. LTF / RMF / SSF の違いは?
LTF(Long Term Fund)は2019年で控除廃止。現在使えるのはRMF(老後資金特化・55歳まで取崩不可)とSSF(Super Savings Fund)(10年以上保有)。RMFは所得30%・上限50万B、SSFは所得30%・上限20万B。両方使えますが、年金関連合算上限50万Bには注意。
Q7. 日本帰国後にタイの還付金を受け取れる?
はい、可能です。タイ国内銀行口座を解約しなければ、還付金は口座に振り込まれます。銀行口座を維持し、年1回程度はオンラインアクセスして残高を確認しましょう。閉鎖された場合は、別途代理人指定や郵送小切手などの手続きが必要で時間がかかります。
Q8. 駐在員手当(住宅手当・家族手当)は課税対象?
原則すべて課税対象です。給与+各種手当=総支給額が課税所得の元になります。例外として、業務上の出張旅費・規定内の通勤手当などは非課税扱いの場合あり。会社の経理部門に「課税扱い項目リスト」を確認するのが確実です。
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